Suguru's Soliloquies

外資系のクラウドベンダーでサポートのマネージメントをやっています。激動のIT業界で日々感じている事、疑問に思った事などを綴っていきます。もちろん、全ての内容は個人の見解であり所属する組織の公式見解ではありません

できるエンジニア 実践 企業が欲しがる人材とは

出来るエンジニアってどんな人?

「だから結局、できるやつは何でもできるし、できないやつは何にもできないってだけの話だろ」

 映画 「桐島、部活やめるってよ」の有名な台詞の引用ですが、自分が出来ると思っている奴は時として残酷な事を言うわけですね。しかし、宏樹君。それでは、あなたはプロにはなれないですよ。実際、器用貧乏だし、やりたい事も見つかっていないじゃない。

 え?映画見てないから分からない?そりゃそうですね。

 では、某SNSにも書きましたが、私が欲しいエンジニアは、

「どこかにスクラッチからの開発が出来て目を見張るような技術センスとスキルがあって市場のトレンドをしっかりと追いつつ自分の意見もあって日本語と英語のコミュニケーションスキルが高くグローバルでも戦えててエンジニアとしての向上心があってチームワークの重要性が分かっていて謙虚だけれどプライドもあって上とぶつかる事を恐れずに改革を起こせてカリスマ性があってプリセールス、ポストセールスのビジネスと会社の求める物を理解して後輩の育成も出来て自分のキャリアの方向性もしっかり持っていてユーモアや皮肉も理解して人としても尊敬出来る人格で新しい働き方にチャレンジ出来て会社のレッテルに依存しないで将来的にはリーダーやマネージメントの業務にも臆せずに挑戦したいと考えていて楽しく仕事が出来るエンジニアは居ないだろうか。」

 嘘です。

 いや、半分本気ですが、なかなか居ないって、そんな人。

 では、何が重要なのか、と言うと、ずばり「ポテンシャル」、日本語で言うところの「将来性」なのです。

 でも、その話を深掘りする前に・・・

エンジニアの悩みあるある

・会社の方針やマネージャの変更により評価やキャリアが変わってしまう。

・エンジニアのキャリアが不透明。マネージャになる以外のキャリアパスって無いの?

・シニアなエンジニアが何も教えてくれない。怖い、偉そう、話しかけ辛い、忙しそう、いつもイライラしている。

 ・マネージャに技術的な事やトラブルを相談しても、何もアドバイスをくれない。もしかして、理解していないのでは・・・

・忙しすぎる、燃え尽きそう、でも、振る先も居ない。マネージャに相談したら謝られた。更にしつこく苦情を言ったら怒られた。

・なんだか自分ばっかり大変な仕事をやっている気がする。でも、マネージャは簡単な仕事を沢山やっているエンジニアがお気に入りみたい。

・お客様や営業の言うことばっかり聞いちゃって、全部、エンジニアにしわ寄せじゃん。

・残業もダメで休日出勤もするなって、働き方改革の前に仕事量を減らしてくれ。

・会社の決めたゴールって数字ばっかりじゃん。それを達成する事だけが目標になってないかな。

 あー、やんなっちゃったな。そういえば、友達が転職した会社でエンジニアを募集してたな。そっちに行っちゃおうかな。

 まあ、それも良いでしょう。

 でもね、その時、マネージャはどんな風に考えているんでしょうかね。

 

マネージャの悩みあるある

・どうやっても人が足りない。でも、経費削減で採用を止められちゃったよ。

・優秀な人材が欲しいけど、なかなか良い人が応募して来ないよ。

・エンジニアのモチベーションを上げるため、キャリアモデルを作らないと人が辞めて行っちゃうよ。自分が成長したと感じて貰うにはどうすれば良いかな。

・プロモーションや昇給させてあげたいけど、枠が少なすぎるよ。

・また上から数字目標が下りて来たよ。これを達成しないと、余計な仕事が増えそうだな。

・みんな働き過ぎだから、休ませてあげたいな。でも、不公平にならないようにしないと。

・シニアなエンジニアは扱いづらいな。なかなか言う事をきいてくれないし、理屈っぽくて苦手なんだよね。でも、うまくコミュニケーションを取って、きちんと機会を与えないと。

・今日のみんなの体調やメンタルの調子はどうかな。心配な人には積極的に話しかけて様子を見てみよう。

・お客様や営業の要求事項、ほとんど跳ね返したけど、これだけは無理だったな。

・上の言う働き方改革、いいんだけど、本当に現場の事分かって言ってるのかな。

 

書き過ぎましたかね。

当然、誇張してますし、実際にはこんなに酷くは無いと信じたい。

ここで言いたいのは、何も愚痴を並べて頭を前に振らせる事ではありません。気がつきましたよね。

ここで重要なのは「すれ違い」です。

ちゃんとチームや業務を改善するために、エンジニアとマネージャも協業しなきゃ。

 

One teamって何?

   じゃあ、マネージャやメンバーの空気を読んで、チームの勝利のために全力で戦えばいいんでしょ?それがOne teamだよね。

 残念。ちょっと違う。

 では、以前、某社でシニアなエンジニア達だけのチームをマネージしていた事があるんですが、そこで決めた行動規範を一部紹介しましょう。

(当時の社内用語は、別の用語に変更しています)

 

エンジニア同士での協業と教育

・前向きにエンジニア同士で協業・教育に取り組んでいるか?

・その時のコミュニケーション時の態度は適切か?

・協業・教育のタイミング、内容に問題はないか?

・スムーズな協業・教育に向けて、常に改善を心がけて取り込んでいるか?

・協業・教育の際に、問題の解決やお客様を意識しているか?

ホット案件、困難な案件の対応

・ホットな案件や困難な案件に積極的に関与しているか?

・エスカレーション案件に積極的に関与しているか?

・困難な問題を解決に導く役割を意識しているか?

・困難な問題を自分で抱え込まずに周囲と協力していく姿勢があるか?

・まわりの困難な問題を助けていこうという姿勢が見られるか?

本社関連部門へのリクエスト・フィードバック

・本社関連部署と良好な関係を築いているか?

・前向きに本社関連部署との交渉を行っているか?

・本社関連部署へのリクエストのタイミング・内容に問題はないか?

・本社関連部署とのやり取りを遅延なく適切に行っているか?

コミュニケーション

・お客様とのコミュニケーションに問題はないか?

・エンジニア同士のコミュニケーションに問題はないか?

・マネージャ、リーダーとのコミュニケーションに問題はないか?

・サービス部門とのコミュニケーションに問題はないか?

・他製品部門もしくは他チームとのコミュニケーションに問題はないか?

・きちんと自分の意見を周りに伝え、なおかつ人の意見を聞くことが出来ているか?

デベロップメント

・自分の技術力やスキル・知識、英語力を高める努力を怠らずに継続しているか?

・他のエンジニアの技術力やスキル・知識を高めるために努力しているか?

 

 ここで重要視しているのは、自分の強みを生かし、誰とでも良好な関係を築き上げ、どこからでも学び合い、高め合う事です。そして、結果的に、自分の市場価値が上がっていく。もしかすると、職場環境だってマネージャと一緒になって改善出来るかもしれません。

 

 つまり、大事なのはポテンシャル=どこからでも、何からでも、誰からでも吸収して成長して行く、そういう事だと思うんですよね。

 もちろん、上司や企業によって色々な考え方や意見がありますので、これが全てではありません。でも、悪い考え方では無いと思いませんか?

 ちなみに、こんな話をアメリカ人の今の上司にしたところ、「それはスポンジだね」と言っておりました。それを聞いて、スポンジボブのTVアニメが大好きなビショップ博士*1を思い出したのは秘密です。

*1:何を言っているか分からない人は、アメリカのテレビ番組「フリンジ」を見るように。今をときめくスターウォーズ監督のJJエイブラムスが製作総指揮しているシリーズですよ。